“病気の心配と認知症発症リスク”に関する
非常に興味深い論文があります。
Frank Jessen 博士は、調査結果より、
「主観的記憶に障害はあるが、懸念していなかった患者では、
認知症リスクは増加していなかった。
逆に、
主観的記憶障害に関連した懸念が存在すると
認知症リスクはほぼ倍増した」と報告しています。
どういうことかというと、
すなわち、主観的に記憶の障害を感じていても
「くよくよ心配するな!」ということのようです。
噛むことが記憶力低下に効力発揮する!!
噛むことによる効果が
[認知症予防]にも発揮できるということが
わかっています。
噛むことと脳の活性化については、
「記憶の玉手箱」で以前にもお話ししました。
その内容はこちら
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良く噛むことで脳を活性化!
http://kioku-tamatebako.com/?p=1849
咀嚼することで、脳内の血流が増え、
神経活動が活発になることがわかっています。
そして、脳の運動野や感覚野、前頭野、
小脳などが活性化します。
これは、脳内に口と関係した神経が広く分布していて、
口を動かすことで脳が刺激されるためです。
前頭前野の活性化により、
情報の統合、判断、感情、行動、記憶の
コントロール、コミュニケーションなど
社会生活を営む上で非常に重要な役割を
果たすことができるのです。
マウスの動物実験によっても実証されています。
咀嚼をたくさんするマウスに比べて、そうでないマウスは
咀嚼による中枢への刺激が恒常的に減少し、
中枢神経系の各部位におけるアミロイドベータ蛋白の沈着や、
記憶・学習機能を制御する海馬神経ニューロン数の減少が
目立ってきます。
マウスの海馬の神経細胞数を調べたところ、
1週間で30%の海馬の神経細胞が消失したことが
確認されています。
同時に、このマウスは海馬の働きが悪くなったことで、
空間認知機能が低下しただけでなく
記憶力までも低下したことが分かっています。
このように「咀嚼」することが
認知症予防に効果があることが明らかになっています。
一定時間ガムをかむことによって、
脳の神経細胞が活動しはじめ、記憶にもっとも関係している
前頭前野や海馬をはじめ、
脳のさまざまな領域が活性化することが
これまでの研究結果から明らかになっています。
特に高齢者ほど、前頭前野と海馬が
顕著に活性化することが判明しました。
このことからも、『かむ力』は
日本が抱えるもっとも深刻な問題である
認知症の予防につながると考えられます。
また海馬には
位置や場所、方向などを把握する働き
「空間認知能力」があり、
自分がいる場所を判断しているわけですが、
海馬の機能が落ちるにつれてこの能力も低下し、
迷子になってしまいます。
噛むことで、海馬が活性化することにより、
これらの問題にも効果があると考えられます。
では日常で一体どのようにして
かむ力を養っていけばよいのでしょうか?
日本体育大学保健医療学部の小野塚實教授によると、
「勉強をしていると集中力が下がってきます。
休まないで集中力を回復させようとするとなると、
ガムがいいです。
ガムをかむと集中力が回復します。
それはかむことのリラックス効果によるものと考えられます。
また、記憶をつかさどる海馬についても
効果を及ぼします。
高齢になるほど海馬は萎縮し、
機能が衰えて記憶力が低下しますが、
ガムを2分間かんだ後の海馬の活動は
高齢者ほど活発になり、記憶力テストの成績もアップしています」
ということです。
日本チューインガム協会によると、
ガム1枚を味がなくなって捨てるまでにかんだ回数は550回と、
その咀嚼回数は突出して多いということ。
このことからも、
ガムが「噛む力」を養いやすいことがわかります。
日常で咀嚼をするために、
ガムを利用するのも、方法の一つだと思われます。
試してみてはいかがでしょうか。