眠りと脳との関係
睡眠は何のためにあるのでしょうか?
1日のうち、睡眠にとる時間は必ずあるものです。
睡眠は、翌日の活動のため、疲労回復、免疫強化、
ホルモン調整、臓器の修復といった作業が行われます。
若いときはいくらでも眠ることができたのに、
年齢とともに、中高年期にさしかかると
「眠れない」という問題を抱えやすくなります。
これを睡眠障害として訴える人々が増える傾向にあります。
それにより、安易に入眠剤・睡眠薬を服用することが
増えているようです。
そもそも眠りというものは
加齢とともに浅くなるのです。
その理由は・・・
高齢者は若者と比べ眠りが深くありませんが、
それは外部からの刺激を受ける機会が減ることと
関係があります。
外部からの刺激というのは、
勉強や仕事だけでなく、物事や出来事に感動したり、
人とコミュニケーションをとる
といったことも含みます。
それによって脳を活発に使うと、
より眠りも深くなると考えられています。
加齢とともに睡眠時間が短くなってきた、
ぐっすり眠れない、夜中何度も目が覚める
といったことがあれば、まずは日中
どのような生活をしているか見直す必要があります。
周りの人と積極的に
コミュニケーションをとったり、
テレビからの情報もただ受け身になるだけではなく、
感動したり自分自身でしっかり
考えたりすることが大切です。
睡眠は体内時計の役割を果たす
メラトニンというホルモンも密接に関係しています。
このホルモンが夕方以降、
体内で増加することで体は「夜の始まり」を認識し、
体の細胞のすべてが睡眠に向かって準備を始めます。
日中に太陽光などの強い光をしっかり浴びれば、
年齢を重ねてもメラトニンは
若い頃と同レベルで分泌されることが
近年明らかになっています。
高齢者は若い人と違い、頻繁に目が覚める、
睡眠時間が短くなる、熟睡感が減るという
問題を抱えがちですが、それは眠りを維持するための力
(脳の温度差、ホルモンの分泌量)が落ちてくることと
関連しています。
しかしこうした変化はほとんどすべての人に
起こるため、必ずしも病気だと心配する必要は
ないようです。
多くの人が25歳頃を境に運動をする機会が減りますが、
40代頃でその傾向が顕著になります。
また、60代で退職してからはさらに運動する機会や
外部から刺激を受ける機会が減り、
75歳をすぎると外出する時間が少なくなる
傾向にあります。
睡眠時間が低下し始めた時は、
日中に太陽光を浴びたり、積極的に外出するなど、
生活の質が低下していないか、
まず生活習慣を見直すことが必要と考えられます。
「質の高い眠り」とは、
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が
しっかりセットになった睡眠のことをいいます。
この「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」については、
以前にもお話ししています。
睡眠は90分置きに
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返します。
「レム睡眠」時は脳が活発に働き、夢を見ます。
体は軽い寝返りをうちますが、
基本的にぐっすり休んでいて、
脳は記憶の定着や経験した出来事の
整理などを行います。
「レム睡眠」は体の休息を促しますが、
一方、「ノンレム睡眠」は脳の休息を促します。
「ノンレム睡眠」時に「レム睡眠」時で
働いていた脳を休めようとします。
寝付きを良くするために、
寝る直前の入浴が推奨されますが、
どんな理由があるのでしょうか?
睡眠は体温と密接に関係しています。
人の体温は寝る直前から低くなり、
睡眠中もどんどん下がっていき、
起床2時間前くらいから再び上昇します。
この「体温の変化」は「脳の温度の変化」とも
言い換えることができます。
寝る数時間前から脳の機能は低下し、
同時に体温も下がりますが、
体温の下り方が急であればあるほど
寝付きが良くなります。
寝る直前の入浴が推奨されるのは、
体温(脳の温度)が一時的に上がりますが、
物理的に急に上げた体温は、急速に下がるためです。
寝つきが悪い時はぜひ試してみて下さい。
さあ、今日から質の良い睡眠を・・・