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もの忘れを伴う疾患 その5 

もの忘れを伴う疾患として
 
8種類の疾患を前回紹介致しました。
 
 
今回はその中での7、ビタミン欠乏症について
お話していきます。
 
 
ビタミンとは
 
 
ビタミンには
水溶性ビタミンビタミンB1、B2、B6、B12、ニコチン酸、
        葉酸(ようさん)、パントテン酸、ビタミンC)と、
 
脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)とがあります。 

 
 
脂溶性ビタミンは熱に対して比較的安定で、
必要以上にとると肝臓に貯蔵されるので、
過剰投与すると障害を引き起こします。
 
 
そのため、脂溶性ビタミンは、とりすぎないことが大切です。 

 
 
水溶性ビタミンは熱に弱く、調理法に
気をつける必要がありますが、過剰にとっても
尿に排泄されるので毒性はありません。
 
 
7、ビタミン欠乏症とは
 
 
ビタミンは体内では合成されないので、
微量の摂取で十分ですが毎日とる必要があります。
 
 
不足すると正常な生理機能、物質の代謝、
成長、生命維持に障害を来すので、欠くことができません。
 
 
 
潜在性ビタミン欠乏症
 
明らかなビタミン欠乏症状は示していないけれども、
疲労感、倦怠感、食欲不振など、いわゆる不定愁訴があり、
血液や尿中のビタミンの濃度が正常値より低い場合があります。
 
 
 
これは、ビタミン欠乏の前段階ともいえるもので、
もし、このような状態が長くつづくと
本物のビタミン欠乏症になる恐れがあります。
 
 
最近は、特にこうした状態にある人を
 
潜在性ビタミン欠乏症と呼んでいます。
 
 
 
潜在性ビタミン欠乏状態がつづくと、
体調が悪くなり、病気にかかりやすくなるといった、
日常生活への直接の影響のほか、がん、動脈硬化、糖尿病など、
長い時間かかって徐々に進行する生活習慣病の発生にも
関係することが知られています。
 
 
 
これらの病気の予防には「抗酸化ビタミン」
と呼ばれるビタミンC、E、β-カロテン、およびそれらを含む
緑黄色野菜などを積極的にとることが大切とされています。
 
 
 
抗酸化ビタミン
 
 
人の体内や環境中でつくられる活性酸素や
フリーラジカルなどによる生体細胞、
組織の酸化を防止する作用があるビタミン類のことです。
 
 
 
ビタミンを多めにとる必要がある人、
これらにあてはまる人はカッコ内のビタミンを
多めにとる工夫が必要です。
 
 
 
(1)ストレスの多い生活をしている人(A、C、B1、B2)
 
(2)甘いものを好む人(B1)
 
(3)かぜ、胃腸炎などの感染症、手術後の人(A、B1、C、E)
 
(4)筋肉運動の量が多い人(B1、B2、ナイアシン、E、C、β[ベータ]-カロテン)
 
(5)妊産婦、授乳婦、発育期の青少年(ビタミン類全般)
 
(6)抗生物質を使用している人(B2)
 
(7)経口避妊薬(ピル)を使用している人(B1、B6、B12、葉酸、C、E)
 
8)厳格な菜食主義者(B12)
 
(9)日光の当たらないところにいることが多い人(D)
 
(10)たばこを吸う人(A、C)
 
(11)睡眠が不足がちの人(B1、B6、B12)
 
(12)よく日焼けをする人(C、E、β-カロテン)
 
 
ビタミン不足による症状
 
 
 
代表的な欠乏症として
 
・Aは 夜盲症(やもうしょう)
 
・B1は かっけ、
 
・B2は 口角炎(こうかくえん)、
 
・B6は 皮膚炎・神経炎、
 
・B12は 悪性貧血、
 
・ナイアシンはペラグラ、
 
・パントテン酸は、足の灼熱感(しゃくねつかん)、
 
・葉酸は、巨赤芽球性貧血、
 
・Cは壊血病、
 
・Dはくる病、
 
・Eは溶血性貧血、
 
・Kは血液凝固障害
 
などがあります。

 
 
神経症状を来すビタミンB1、B6、B12、ニコチン酸の欠乏は
 
偏食が原因です
 
 
 
アルコール多飲のために、必要なビタミンB1が
アルコールの代謝に使われてしまって、
体内で不足することもあります。 
 
 
 
B12の欠乏は、胃切除などの術後に
B12の吸収ができないために起こることもあります。
 
 
欠乏症までいかなくても、ビタミン不足になると、
不足するビタミンの種類によってさまざまな症状が現れます。
 
 
 
現代人は食生活などによるビタミンB1不足が多く、
 
慢性疲労、食欲不振、動悸(どうき)、めまいのような
 
症状を訴える人の3割以上が潜在的ビタミンB1欠乏症
 
とまでいわれています。
 
 
 
潜在的ビタミンB1欠乏症の場合、
所要量の10倍以上を1~2週間摂取し、早期に体内貯蔵量を
回復させる方法もあります。
 
このためにはサプリメントが有効です。
 
 
検査と診断
 
 
最近ではビタミンの血中レベルが計測できるので、
低値を示せば欠乏症と診断できます。
 
 
 
そのほか、末梢血の検査によってビタミン欠乏による貧血や、
アルコールによる肝障害がないかどうかや、
末梢神経伝導検査によって手足の神経の機能がわかります。 
 
 

このようにして、総合的にどのビタミンが不足しているのか、
また末梢神経の機能低下がないかどうかの結果を踏まえて
診断されます。
 
 
 
脊髄や脳の障害はMRI検査で病変部位を
画像で示すことができ、診断に役立っています。
 
 
 
ビタミンは以上のように不足するといろいろな症状が出てきます。
 
 
適切にとってバランスをとることが大事ですね。
 
 
 

もの忘れを伴う疾患 その4 

 
 
もの忘れを伴う疾患として
 
8種類の疾患を前回紹介致しました。
 
今回はその中での6、甲状腺機能低下症
についてお話していきます。
 
 
6、甲状腺機能低下症
 
 
甲状腺機能低下症は、
慢性甲状腺炎と橋本病は同じ意味に使われ、
バセドウ病とともに代表的な甲状腺疾患です。
 
 
頻度は高く、血中自己抗体のデータからは
一般成人の10~25%の女性
橋本病の素質があると考えられます。
 
 
 
女性に多くみられ、しばしば家系的発生がみられ
遺伝的素因が考えられます。
 
 
バセドウ病と同様に病因として
自己免疫疾患
(自分の体の組織成分に対して抗体がつくられることによって起きる疾患)
と考えられています。
 
 
■ 甲状腺機能低下症状としては、
 
 
倦怠感、寒がり、むくみ(押しても圧痕を残さない)、
筋力低下、便秘、体重増加、過多月経、声のかすれ、
皮膚乾燥、脱毛などがあります。
 
 
 
甲状腺機能異常を伴わないものでは
あまり自覚症状はありません。
 
 
■ 診断
 
 
甲状腺機能が低下してくると
血中甲状腺ホルモンは低値となり、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は高値になります。
 
 
 
また、血中コレステロール高値、
 AST、 ALT、 ALP などの肝機能の軽度高値
(このコレステロール高値や肝機能異常は
甲状腺機能の改善とともに正常化する)
などがあります。
 
【参考】
 
肝機能の数値
 
AST(GOT) 基準値:30 IU/L以下
 
<健常時>
細胞内でつくられる酵素で、肝細胞もしくは
心臓や腎臓などの臓器に多く存在しています。
 
 
体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で
重要な働きをします。
 
 
◆ALT(GPT) 基準値:30  IU/L以下
 
<健常時>
細胞内でつくられる酵素で、主に肝細胞に存在しています。
体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で
重要な働きをします。
 
 
<異常時>
何らかの異常で肝細胞が破壊されることにより、
はじめて血液中に漏れ出します。
 
 
その数値が高いということは、
それだけ肝臓が障害を受けているという状態を
反映しています。
 
◆ALP(アルカリホスファターゼ)基準値:100~325 IU/L
 
<健常時>
肝臓をはじめ、腎臓などのからだの
さまざまな細胞でつくられる酵素で、
肝臓では通常毛細胆管膜に多く在し、
胆汁中にも存在します。
乳製品、レバーなどに多く含まれる物質(リン酸化合物)を
分解する働きがあります。
 
 
 
いかがでしょうか?
疲れやすくなってきた、寝ても疲れが取れない、そして顔色が最近さえないなど、
気が付いたらそんな感じがある方は、一度血液検査をするとよいかもしれません。
 
 

もの忘れを伴う疾患 その3 

 
 
もの忘れを伴う疾患として
 
8種類の疾患を前回紹介致しました。
 
今回はその中で5、正常圧水頭症についてお話していきます。
 
 
5、正常圧水頭症
 
 
脳は、脳脊髄液(略して髄液)と呼ばれる、
水のような無色透明の液体に浸かっています。
 
 
何か不思議な感じがしますよね。
 
 
たとえば、
豆腐が水と一緒にパックに詰められたような状態です。
 
 
脳の内部には脳室と呼ばれる空間があり、
髄液が循環していますが、髄液はその脳室の一部にある
脈絡叢(みゃくらくそう)の血管から
血液が濾過(ろか)されるような形で、
1日に約500mLつくられていきます。
 
 
 
脳と脊髄に存在する髄液は約150mLですから、
髄液は1日に3回くらい脳と脊髄を循環しているわけですし、
髄液は最終的に脳の表面を通り、
頭のてっぺんにある上矢状洞(じょうしじょうどう、)という
太い静脈系へと吸収されていきます。
 
 
 
この髄液の循環通路のどこかで何らかの理由で
 
(先天性の中脳水道の閉鎖や、後天的には脳腫瘍、脳室内出血など)
 
循環が妨げられると、髄液は次第に溜まってきます
 
 
 
脳は、頭蓋骨という固い閉鎖空間に囲まれているので、
髄液が溜まってくると脳圧が高くなり、
また髄液が存在する脳室は大きくなります。
 
 
 
そして、脳の機能が障害されることになり、
頭痛、嘔吐(おうと)、意識障害が出現し、
手遅れになると呼吸停止で死に至ることもあります。
 
 
この病態は水頭症と呼ばれ脳圧が高いのです。
 
 
 
たとえば、くも膜下出血(外傷後や脳動脈破裂後)や
髄膜炎などで、脳表のくも膜下腔の髄液の流通が
比較的マイルドに障害されている場合は、
時間の経過とともに様々な代償作用で脳圧が下がっていき
正常化することがあります。
 
 
 
この場合は、脳室が拡大しているのですが、
脳圧は正常範囲内で症状も重篤なものではなく、
 
①認知障害(物忘れ・痴呆)、
 
②歩行障害、
 
③尿失禁などが出現します。
 
 
くも膜下出血、髄膜炎など原因が明らかな場合は
続発性正常圧水頭症と呼ばれます。
 
 
一方、高齢者に多いのが、
原因がないにもかかわらず脳室が拡大し、
上記の症状が出現する場合は、
特発性正常圧水頭症と呼ばれます。 
 
 
 
■ 症状
 
 
典型的な3大兆候としては、
 
①認知障害(物忘れ・痴呆)、
 
②歩行障害、
 
③尿失禁ですが、
 
3つの症状がすべてそろわない時もあります。
 
 
症状の中では歩行障害が最も重要で、
シャント術で改善する率も高いです。
 
 
 
歩行障害の特徴は、
歩幅の減少、足の挙上低下、
両足を拡げた歩行(broad-based gait)といわれています。
 
 
椅子から立ち上がりにくくなったり、
方向転換時に歩行の不安定性が増します。
 
 
また、パーキンソン病の歩行障害と異なり、
号令や目印となる線など外的キュー(きっかけ)による
歩行の改善効果は少ないです。
 
 
 
認知障害の特徴としては、
初期の場合は、意欲や自発性の低下、
集中力の低下など、これまで活動的だった人が
外界に対して無関心になり、少しボーッとした感じになります。
 
 
症状が進む見当識障害といって、
時・場所・人に関する記憶が失われます。
 
 
尿失禁は、尿意をもよおした時、
すぐにトイレに行かないと漏らしてしまう尿意切迫型です。
 
 
しかも歩行障害もあるため、尿失禁に至ることが多くなります。
 
 
男性の場合は、前立腺肥大と診断されていることもあり、
鑑別が難しいことがあるようです。
 
 
 
■ 診断
 
くも膜下出血や髄膜炎など続発性の場合は
診断は比較的やさしいのですが、
原因不明の特発性の場合は
病態機序が未解明です。
 
 
 
いずれにせよ、年のせいだとあきらめず、
パーキンソン病、アルツハイマー病と診断がついていても、
まずは正常圧水頭症の可能性を疑い、
専門医の診断を受けることが大切です。
 
 
物忘れの症状がでる「正常圧水頭症」という言葉を
今回初めて聞かれる方もおられるのではないでしょうか?
 
 
大枠を知っているとやみくもに心配することもなくなるので、
参考にして頂けたら幸いです。
 
 
 

もの忘れを伴う疾患 その2

脳腫瘍を始め、8種類の疾患を前回紹介致しました。
 
今回はその中での3、脳腫瘍と4、慢性硬膜下血腫
についてお話していきます。
 
 
3、脳腫瘍
 
脳腫瘍とは
 
脳腫瘍には、良性と悪性があり、種類もたくさんあります。
 
 
腫瘍の場所によって症状もさまざまです。
 
 
症状が出るときは、
 
すでに腫瘍が大きくなっていると考えられます。
 
 
悪性の場合は、症状がなくても進行が
早いこともあります。
 
 
脳腫瘍に類似した症状
 
 
脳腫瘍は年間の発症が1万人に1人というまれな病気ですが、
頭痛や神経症状、けいれん、まひといった多彩な症状が出ます。
 
 
脳梗塞、常習性頭痛、脳炎、てんかんなどと症状が
類似したものがあります。
 
 
ですから、脳神経科や脳神経外科などで
診てもらう必要があります。
 
 
 
■ 主な良性脳腫瘍
 
髄膜腫…くも膜にできます。
 
ほぼ全摘出が可能です。
 
頭痛やけいれん発作の症状が出ます。
 
 
下垂体腫瘍…女性に多く、下垂体にできます。
 
月経不純や出産しないのに母乳がでたりする症状があります。
 
また、視神経が圧迫されるとものが見にくくなります。
 
 
聴神経腫瘍…脳幹から出ている耳の神経にできます。
 
 
めまい、耳が聞こえにくくなる、顔面神経まひ、
頭痛といった症状があります。
 
 
 
■ 主な悪性脳腫瘍
 
神経膠腫(グリオーマ)…脳のグリアという神経細胞を
くっつける細胞からできます。
 
脳のがんと呼ばれ、摘出は不可能です。
 
 
転移性腫瘍…ほかの臓器などのがんが脳に転移したものです。
 
肺がん、乳がん、消化器がん、甲状腺がんなどの転移が多く、
肉腫やメラノーマといった悪性腫瘍からも転移します。
 
 
■ 脳腫瘍の検査
 
 
CTやMRIで検査します。
 
血管造影検査や脳波測定も必要に応じておこなわれます。
 
 
■ 脳腫瘍の治療
 
 
良性の場合は摘出手術が効果的で、
完治が可能です。
 
 
悪性の場合は放射線治療が一般的です。
 
それぞれの大きさ、種類、場所などによって治療法が決められます。
 
 
4、慢性硬膜下血腫とはどんな外傷か
 
 
頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と脳の間に、
徐々に血がたまって血腫になったものです(コラム頭部の解剖図)。
 
 
 
中高齢者(おおむね50~60歳以上)に多い特徴があります。
 
 
■原因は何か
 
軽微な頭部打撲(だぼく)をきっかけにして、
脳の表面(脳表)に微量の出血あるいは
脳脊髄液(のうせきずいえき)がたまって、
その反応でつくられる膜から少しずつ出血が繰り返され、
血腫が大きくなると考えられています。
 
 
きっかけになる頭部外傷がはっきりしないことも
まれではありません。
 
 
 
■ 症状の現れ方
 
 
契機となる頭部外傷の直後は無症状か頭痛程度の
症状しかないことが多く、このため、
病院を受診しない人がほとんどです。
 
 
このあと通常は3週間~数カ月かけて血腫がつくられて、
頭蓋骨の内側の圧が高まり(頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん))、
頭痛や吐き気・嘔吐が現れます。 
 
 
 
また、血腫による脳の圧迫症状として
半身の麻痺(片麻痺(かたまひ))、言語障害などが
初発症状のこともあります。 
 
 
 
軽度の意識障害として、元気がなかったり(自発性の低下)、
ぼけ症状(認知症症状)がみられることもあります。
 
 
血腫が増大していけば意識障害が進行して
昏睡(こんすい)状態になり、さらに血腫による圧迫が
脳ヘルニアの状態にまで進行すると、
深部にある生命維持中枢(脳幹(のうかん))が侵され(呼吸障害など)、
最終的には死に至ります。
 
 
 
■ 検査と診断
 
 
きっかけになる頭部外傷の直後では、
頭部CTで異常が認められないことがほとんどです。
 
 
症状が現れれば血腫によって脳が圧迫されているので、
CTで診断されます。 
 
 
 
血腫はCTで白く映ります(高吸収域)。
 
 
慢性の血腫では血液濃度が薄い場合があり、
CTでは灰色(等吸収域)あるいは黒く(低吸収域)映ることもあります。
 
 
また、慢性の血腫はMRIで特徴的な所見を示すので、
頭部MRIも診断に有用です。
 
 
 
 
 
血腫が少量で症状も軽微な場合は、
自然吸収を期待して経過観察とすることもありますが、
通常は局所麻酔下の手術が行われます。
 
 
慢性の血腫はさらさらした液状のため、
大きく頭蓋骨を開けなくても小さな孔(あな)から取り除けるので、
穿頭血腫除去術(せんとうけっしゅじょきょじゅつ)あるいは
穿頭血腫ドレナージ術が行われます。
 
 
 
いかがでしたか。
 
自分で多く思いあたることがある場合は、検査してみた方がよいかもしれません。
 
 

もの忘れを伴う疾患 その1

 
 
もの忘れを伴う疾患として
 
脳血管性認知症を始め、8種類の疾患を前回紹介致しました。
 
 
今回はその中で
 
1、脳血管性認知症と
 
2、アルツハイマー型認知症
 
についてお話していきます。
 
 
1、脳血管性認知症とは・・・
 
 脳卒中(脳血管障害)によって神経組織が壊れて、
その結果認知症が現われるものをいいます。
 
 
認知症のうち半分がアルツハイマー病で、
3分の1が脳血管性認知症、
レビー小体型認知症が10%余りです。 
 
 
 
主に60歳以後に現れますが、アルツハイマー病に比べて
男性に多いようです。
 
 
■原因は何か
 
(1)多くは、脳の太い血管(皮質性)や
細い血管(皮質下性)が詰まり(梗塞)、
酸素が運ばれなくなり、神経細胞やそこから出る
神経線維が壊れて認知症になります。 

 
 
(2)脳血管が破れた脳出血の後遺症(脳出血性)として、
認知症になることもあります。 

 
 
(3)脳の海馬や視床(ししょう)といった
記憶に関係する部位(限局病変型)に脳卒中が起きて
認知症になることもあります。 

 
 
(4)脳の血の巡りが悪く(低潅流型)認知症になることもあります。
 もともと、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロール値の高い人)、
膠原病(こうげんびょう)(関節リウマチなど)、血液が固まりすい人、
ストレスに弱い人、喫煙者には、脳卒中がよく起こります。
 
 
そこで、これらを脳血管性認知症の危険因子と呼びます。
 
 
■症状の現れ方
 
アルツハイマー病とよく似た症状が現れますが、
アルツハイマー病は徐々に悪くなるのに対し、
脳血管性認知症は階段状に悪くなるとか、
症状の動揺があるのが特徴です。 
 
 
 
細い血管の梗塞による場合には徐々に進行します。
また、記憶障害より運動障害や感情障害が目立ちます。
 
 
 
初期から歩行、嚥下(えんげ)、発語の障害が現れるため、
パーキンソン病と似た加速歩行など、
脳血管性パーキンソニズムの症状も出ます。
 
 
元気なく、やる気のない抑うつ状態の人もあります。
その場にそぐわない泣きや笑い(感情失禁)がみられる人もあります。
 
 
 
2、アルツハイマー型認知症
 
■アルツハイマー病とは・・・
 
アルツハイマー型認知症=アルツハイマー病(AD)は
世界的に最も多い神経変性疾患です。
 
 

正式名称を“Alzheimer's basket cells”といいます。

 
 
1907年、ドイツの精神科医であるA.アルツハイマー博士が
初めて報告した病気で、報告者である博士の名前が病名につけられました。
 
 
 
この病気は、脳内で特殊なタンパク質異常が起こり、
脳内のニューロン・シナプスが脱落していきます。
 
 

脳内の神経細胞がどんどん壊れ、脳が次第に萎縮していき、
知能、身体全体の機能も衰えていきます。
 
 

そして、二次性の呼吸器合併症などによって
最終的に死に至ることも少なくありません。
 
 

アルツハイマー病の原因は未だわかっておらず、
特効薬といえる治療薬も、治療法もありません。
 
 
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)の原因は?
 
 
 
 
▲アルツハイマー型認知症患者の脳の老人斑
 
アルツハイマー型認知症は、
 
脳の神経細胞の減少、脳の萎縮、脳への老人斑
・神経原線維変化の出現を特徴とします。

 
 
脳の中にβアミロイドと呼ばれるタンパク質が
たまり出すことが原因の一つとされていて、
βアミロイドが脳全体に蓄積することで健全な神経細胞を
変化・脱落させて、脳の働きを低下させ、
脳萎縮を進行させると言われています。
 
 

しかし、はっきりした原因はいまだに分かっていません。
 
 
アルツハイマー型認知症の発症と進行は比較的緩やかです。
 
 

しかし、確実に、徐々に悪化していきます。
 
 

多くの場合、物忘れ(記憶障害)から始まり、
時間、場所、人の見当がつかなくなります(見当識障害)。
 
 

物忘れは、病気の進行とともに「最近のことを忘れる」から
「昔のことを忘れる」というように変化し、
 
 
次第に過去の記憶や経験などを失っていきます。
 
●特徴は…
 
早い時期から診断可能。
進行すると家族の顔も分からなくなる。
40歳代からの発症があり、しかも進行が早い。
患者は、紙に立体図形が描けない。
 
 
●発症する過程は…
 
脳の中にβアミロイドと呼ばれるタンパク質が増え、たまり出す。
     
βタンパクは中性エンドペプチド(酵素) が分解するが、
     患者はこの酵素量が少ない。
 
     タウタンパクが増加する
 
     神経細胞死が起きる
 
     アルツハイマー型認知症が発症する
 
 
アルツハイマー型認知症の症状は?
 
 
●前駆症状
知的能力低下に先立つ2~3年前から、   
     軽度の人格変化が起こる
(例: 頑固になった、自己中心的、人柄に繊細さがなくなった)
 
     不安・抑うつ症状が出る
 
     睡眠障害が出る
   
     不穏、幻視妄想を認めることが多い
 
 
●第一期に出る症状
 
     健忘症状・・・ものごとを忘れる
 
     空間的見当識障害・・・道に迷う
 
                   多動・・・徘徊を繰り返すようになる
 
 
●第二期に出る症状
 
     高度の知的障害、巣症状(失語、失行、失認)
 
     錐体外路症状(筋固縮)・・・パーキンソン病と間違われることもある
 
 
●第三期に出る症状
 
     高度な認知症の末期で、しばしば痙攣、失禁が認められる
   
     拒食・過食、反復運動、錯語、反響言語、語間代(例: ナゴヤエキ、エキ、エキ)がみ     られる