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もの忘れを伴う疾患 その3 

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もの忘れを伴う疾患として
 
8種類の疾患を前回紹介致しました。
 
今回はその中で5、正常圧水頭症についてお話していきます。
 
 
5、正常圧水頭症
 
 
脳は、脳脊髄液(略して髄液)と呼ばれる、
水のような無色透明の液体に浸かっています。
 
 
何か不思議な感じがしますよね。
 
 
たとえば、
豆腐が水と一緒にパックに詰められたような状態です。
 
 
脳の内部には脳室と呼ばれる空間があり、
髄液が循環していますが、髄液はその脳室の一部にある
脈絡叢(みゃくらくそう)の血管から
血液が濾過(ろか)されるような形で、
1日に約500mLつくられていきます。
 
 
 
脳と脊髄に存在する髄液は約150mLですから、
髄液は1日に3回くらい脳と脊髄を循環しているわけですし、
髄液は最終的に脳の表面を通り、
頭のてっぺんにある上矢状洞(じょうしじょうどう、)という
太い静脈系へと吸収されていきます。
 
 
 
この髄液の循環通路のどこかで何らかの理由で
 
(先天性の中脳水道の閉鎖や、後天的には脳腫瘍、脳室内出血など)
 
循環が妨げられると、髄液は次第に溜まってきます
 
 
 
脳は、頭蓋骨という固い閉鎖空間に囲まれているので、
髄液が溜まってくると脳圧が高くなり、
また髄液が存在する脳室は大きくなります。
 
 
 
そして、脳の機能が障害されることになり、
頭痛、嘔吐(おうと)、意識障害が出現し、
手遅れになると呼吸停止で死に至ることもあります。
 
 
この病態は水頭症と呼ばれ脳圧が高いのです。
 
 
 
たとえば、くも膜下出血(外傷後や脳動脈破裂後)や
髄膜炎などで、脳表のくも膜下腔の髄液の流通が
比較的マイルドに障害されている場合は、
時間の経過とともに様々な代償作用で脳圧が下がっていき
正常化することがあります。
 
 
 
この場合は、脳室が拡大しているのですが、
脳圧は正常範囲内で症状も重篤なものではなく、
 
①認知障害(物忘れ・痴呆)、
 
②歩行障害、
 
③尿失禁などが出現します。
 
 
くも膜下出血、髄膜炎など原因が明らかな場合は
続発性正常圧水頭症と呼ばれます。
 
 
一方、高齢者に多いのが、
原因がないにもかかわらず脳室が拡大し、
上記の症状が出現する場合は、
特発性正常圧水頭症と呼ばれます。 
 
 
 
■ 症状
 
 
典型的な3大兆候としては、
 
①認知障害(物忘れ・痴呆)、
 
②歩行障害、
 
③尿失禁ですが、
 
3つの症状がすべてそろわない時もあります。
 
 
症状の中では歩行障害が最も重要で、
シャント術で改善する率も高いです。
 
 
 
歩行障害の特徴は、
歩幅の減少、足の挙上低下、
両足を拡げた歩行(broad-based gait)といわれています。
 
 
椅子から立ち上がりにくくなったり、
方向転換時に歩行の不安定性が増します。
 
 
また、パーキンソン病の歩行障害と異なり、
号令や目印となる線など外的キュー(きっかけ)による
歩行の改善効果は少ないです。
 
 
 
認知障害の特徴としては、
初期の場合は、意欲や自発性の低下、
集中力の低下など、これまで活動的だった人が
外界に対して無関心になり、少しボーッとした感じになります。
 
 
症状が進む見当識障害といって、
時・場所・人に関する記憶が失われます。
 
 
尿失禁は、尿意をもよおした時、
すぐにトイレに行かないと漏らしてしまう尿意切迫型です。
 
 
しかも歩行障害もあるため、尿失禁に至ることが多くなります。
 
 
男性の場合は、前立腺肥大と診断されていることもあり、
鑑別が難しいことがあるようです。
 
 
 
■ 診断
 
くも膜下出血や髄膜炎など続発性の場合は
診断は比較的やさしいのですが、
原因不明の特発性の場合は
病態機序が未解明です。
 
 
 
いずれにせよ、年のせいだとあきらめず、
パーキンソン病、アルツハイマー病と診断がついていても、
まずは正常圧水頭症の可能性を疑い、
専門医の診断を受けることが大切です。
 
 
物忘れの症状がでる「正常圧水頭症」という言葉を
今回初めて聞かれる方もおられるのではないでしょうか?
 
 
大枠を知っているとやみくもに心配することもなくなるので、
参考にして頂けたら幸いです。
 
 
 

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