もの忘れを伴う疾患として
8種類の疾患を前回紹介致しました。
今回はその中での6、甲状腺機能低下症
についてお話していきます。
6、甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、
慢性甲状腺炎と橋本病は同じ意味に使われ、
バセドウ病とともに代表的な甲状腺疾患です。
頻度は高く、血中自己抗体のデータからは
一般成人の10~25%の女性に
橋本病の素質があると考えられます。
女性に多くみられ、しばしば家系的発生がみられ
遺伝的素因が考えられます。
バセドウ病と同様に病因として
自己免疫疾患
(自分の体の組織成分に対して抗体がつくられることによって起きる疾患)
と考えられています。
■ 甲状腺機能低下症状としては、
倦怠感、寒がり、むくみ(押しても圧痕を残さない)、
筋力低下、便秘、体重増加、過多月経、声のかすれ、
皮膚乾燥、脱毛などがあります。
甲状腺機能異常を伴わないものでは
あまり自覚症状はありません。
■ 診断
甲状腺機能が低下してくると
血中甲状腺ホルモンは低値となり、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は高値になります。
また、血中コレステロール高値、
AST、 ALT、 ALP などの肝機能の軽度高値
(このコレステロール高値や肝機能異常は
甲状腺機能の改善とともに正常化する)
などがあります。
【参考】
肝機能の数値
◆ AST(GOT) 基準値:30 IU/L以下
<健常時>
細胞内でつくられる酵素で、肝細胞もしくは
心臓や腎臓などの臓器に多く存在しています。
体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で
重要な働きをします。
◆ALT(GPT) 基準値:30 IU/L以下
<健常時>
細胞内でつくられる酵素で、主に肝細胞に存在しています。
体内でのアミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で
重要な働きをします。
<異常時>
何らかの異常で肝細胞が破壊されることにより、
はじめて血液中に漏れ出します。
その数値が高いということは、
それだけ肝臓が障害を受けているという状態を
反映しています。
◆ALP(アルカリホスファターゼ)基準値:100~325 IU/L
<健常時>
肝臓をはじめ、腎臓などのからだの
さまざまな細胞でつくられる酵素で、
肝臓では通常毛細胆管膜に多く在し、
胆汁中にも存在します。
乳製品、レバーなどに多く含まれる物質(リン酸化合物)を
分解する働きがあります。
いかがでしょうか?
疲れやすくなってきた、寝ても疲れが取れない、そして顔色が最近さえないなど、
気が付いたらそんな感じがある方は、一度血液検査をするとよいかもしれません。