感情のコントロールは、大脳辺縁系!?
前回お話した、3つの脳 脳幹部・大脳辺縁系・大脳新皮質。
これら3つの脳の部分が
爬虫類⇒哺乳類⇒人間と進化の順番を経て、
本能的反応の段階から 感情的反応や記憶の発生を経て
新しい脳、つまり人間的、大脳新皮質へと 複雑な段階へと
至る進化を示しています。
これが、「三位一体脳」という概念です。
特に重要なのが大脳辺縁系。
そして、右脳と左脳だけでなく、
この三つの脳を意識して学習を進めて行くと
大変効果的な結果を得ることが出来ます。
三位一体脳の中でも、特に、
哺乳類的脳の大脳辺縁系の コントロールが
重要になってきます。
私たちの衝動的な部分をいかに
理性的な思考へ移行させるか、
そういった役割を果たすので 非常に重要として
注目されています。
とても嬉しかった時の状況、
たとえば試験勉強を一生懸命していて、
それが合格した時のこと、
周りの景色や、誰がどんな表情をしてくれたかとか、
いろいろ覚えていることでしょう。
また、親しい友人がなくなった時、
それを聞いた瞬間の失望した
時間の流れの中での状況など、
鮮明に覚えていることと思います。
この事は、喜びや悲しみ、 そういった感情が
学習の重要な 要素であることを示しています。
この三位一体脳論では、あなたの人格というのは
哺乳類的脳である大脳辺縁系と
人間的脳である大脳新皮質の 相互作用によって
決定づけられると考えられています。
そして学習過程においても 最近の学者たちの見解では、
この大脳辺縁系と大脳新皮質を通じた
新旧脳の 相互作用が深く関わっていると考えられています。
それまで考えられていたのは大脳新皮質つまり
人間的な脳の部分こそが 知的な行為を司り、
学習に大きく関わるものと 考えられていたのですが
この数年の研究で、より効果的な学習をするための鍵は
大脳辺縁系にある という見方を強めてきています。
大脳辺縁系は感情や記憶が生まれる中枢で、
怒り、悲しみ、恐怖などの情動と
密接に関係するといわれる部位です。
ここには、記憶の形成や保持に
重要な働きをする海馬とその先端に、
情動の中心的な役割を担う扁桃体があります。
大脳辺縁系は、内分泌系と自律神経系に
影響を与えることで機能しています。
あまりに強い刺激(驚愕、恐怖体験など)を受けると、
扁桃体が電気のブレーカーのような役目をして、
それを海馬に伝えないように働きます。
こうした体験のあと、その出来事を
忘れてしまうことがあるのはそのためです。
大脳辺縁系は感情を コントロールしている部分なのです。
そして感情にアピールすることこそが 注意を喚起し、
記憶を促す意味で 最も効果的な方法とされているのです。
本能行動や情動に重要な役割を担っているのが
大脳辺縁系ということになります。