「共感」の元はミラーニューロン?!
ミラーニューロンは
霊長類などの高等動物の脳内で、
自ら行動するときと、
他の個体が行動するのを見ている状態の、
両方で活動電位を発生させる神経細胞です。
つまり、他の個体の行動を見て、
まるで自身が同じ行動をとっているかのように
"鏡"のような反応をすることから名付けられました。
他人がしていることを見て、
我がことのように感じる共感(エンパシー)能力を
司っていると考えられています。
たとえば、
誰かが転んでケガをするのを見たとき、
私たちは思わず「痛っ!」と心の中で
叫んでしまいます。
これはちょっと不思議です!
見ているだけなのに、
「痛っ!」とはどういうことなのでしょうか?
どうやら、このとき、
自分が転んでケガをしたときと同じ脳の領域が
反応しているようなのです。
つまり、私たちの脳には、
「直接体験しなくても、知覚することができる」
働きが備わっているのです。
これは、私たちの脳内にある
「物まね細胞 ミラーニューロン」という
脳神経細胞の仕業だと言われています。
「ミラー」という名称が付いていますので、
やはり「鏡」のように、目で見た出来事を
脳内に映し出し、それが、物まね
(直接体験しなくても、知覚することができる)作用を
もたらしているのです。
自分ではない他の誰かが苦悩や苦痛に
さいなまれているを目にすると、
ミラーニューロンが働いて、私たちにその感情を
読み取らせます。
そして、他人の苦悩や苦痛をまるで
自分のことのように感じさせてくれます。
いわば、このミラーニューロンは
「共感」の土台になっています。
この「物まね細胞 ミラーニューロン」の働きで、
私たちは他人の心理状態を自分の脳内で再現します。
だからこそ、他人の気持ちを読み取ることで、
他人の気持ちに思いやりを持って
対応できるようになるのです。
この「ミラーニューロン」の形成は、
生後間もない赤ん坊のときに既に始まっているらしく
、母親が笑いかけると、赤ん坊は笑い返す。
また、母親が答えて笑う。
この繰り返しにより、ミラーニューロンが、育まれ、
これが、成長すると、他人の心理状態を理解する脳へと
発展するのです。
つまり、生後初期の親の働きかけで、
思いやりの気持ちが育つようです。
人の気持ちを脳内で「物まね」することで、
他人の感情を気にかけるようになるということになります。
心理学では、実験によって、この「物まね」は
共感と好感に深く結びついているということが
分かっています。
人の心がよめるのは・・・
不思議なミラーニューロンの働きがある
ということのようですね。