頭が良くなるための秘訣とは・・・
人間の「知能」は、
「結晶性知能」と「流動性知能」に
分類することができます。
結晶性知能は、
知識の正確さ豊かさと、
その知識を運用する能力を示しており、
勉強や経験などの努力によって身につけることができます。
一方、流動性知能は、
新しい場面に適応したり、
これまで経験したことがない問題を解決したりするときに
働く知能で、生まれつきの能力であるといわれています。
一般によくいわれる「頭が良い」というのは
流動性知能が高いことだと考えられます。
この流動性知能の本質となるものが
「ワーキングメモリー(作動記憶)」であると考えられています。
最近の研究では
ワーキングメモリーを鍛えることによって、
流動性知能が高くなる可能性が示されています。
流動性知能が高くなると、
新しい局面に直面した時でも
適切な行動が取れるようになります。
ではこのワーキングメモリーとは
具体的には、何なのでしょうか?
もの忘れは、
行動をする間に、その目標を忘れてしまうことに
起因していると考えられます。
財布を取りに帰ることが目標だから、
途中で見た傘に注意がそれないようにする、
つまり「妨害」されることされることなく、
財布のことをしっかりと憶えておかなければなりません。
しかし、一度書いたら消えないメモとは違い、
こころの中のメモは消えやすく、
またどこかにまぎれやすいものです。
このような、これからの行動に必要な内容を、
一時的にこころの中にとどめておく記憶は
ワーキングメモリ(working memory)と呼ばれています。
ワーキングメモリは、
「財布を持ってくる」という目標行動を可能にするために、
「財布」に注意を向けこころの中にとめおく
、いわば「こころの黒板」である。
ワーキングメモリー(作動記憶)とは、
1960年代に発表された記憶に関する概念で、
情報を一時的に脳内に保ちながら、
その情報を操作し利用することを含む、
一連の記憶の過程を表します。
日常生活を健全に営むためには
ワーキングメモリーは必須の能力です。
例えば、会話するときに相手の言葉を聞いて
理解しながら受け答えをするときや、
料理の手順を考えて調理するときに
ワーキングメモリーが必要です。
スポーツでも、
相手の動きを予測し自分の次の行動を考えるときに
ワーキングメモリーが必要になります。
おつりの計算や、暗算等、紙で計算するのではなく、
数を頭の中に描きながら計算しなくてはならないとき、
この作業がワーキングメモリで行われています。
ワーキングメモリーの能力が高い人は、
複数のことを同時にこなしたり、
頭の中に記憶しておいて順番に処理することが
できるのです。
創造性のある思考をするときにも
ワーキングメモリが使われます。
ワーキングメモリ領域が広い人は、
普通より創造の幅が広いことが分かっています。
人は新しい物事や計画を作るとき、
経験の中から思考がスタートします。
ワーキングメモリが狭い人は
その経験の中から思考が抜け出せず、
ワーキングメモリが広いひとは
もっと広い発想で思考を繰り広げていくことが
できるそうです。
ワーキングメモリは心のメモです。
ワーキングメモリは、
生活の中の「メモを取るまででもないこと」を
頭の中に一時置いておくことが出来る機能です。
例えば、買い物をしている時、
あれが必要、これが必要と考えます。
これもワーキングメモリの活動です。
この時、話しかけられると、
「あれ、何が必要なんだっけ?」と
忘れてしまうことがあります。
ワーキングメモリは領域が限られているので
一度にたくさんのことは出来ないのです。
次回はこのワーキングメモリーの鍛え方について
お話ししていきます。