記憶のメカニズム
前回、夜型の勉強と、睡眠とメラトニンの関係をお話しました。
夜中9時以降になると、メラトニンと言う眠気物質が分泌され、
脳が休息する体制に入るために記憶に影響があるということです。
では記憶はどのようにしてするのか、メカニズムをみてみましょう。
以前にも、記憶のプロセスと題して「記憶の玉手箱」に書いています。
脳には左脳と右脳があり、
左脳は言語的・論理的思考をし、
右脳はイメージする
という説は有名な話ですね。
記憶にはさまざまな種類があり、
視覚・聴覚・臭覚・味覚・感覚
の5感から入ってきて
情報は単体ではなく、全体の流れの中で処理されているのです。
■「2種類の記憶」のメカニズム
記憶のメカニズムには大きく分けると、2種類あるとされています。
① 頭で覚える
数学の公式や歴史上の人物、漢字や英単語を
覚えたりするのが陳述的記憶というものです。
この記憶は一度覚えても大部分のものを忘れてしまう傾向にあります。
② 体で覚える
例をとれば泳ぎ方や自転車の乗り方などを覚える記憶のことで
一度しっかり覚えれば、なかなか忘れることはありません。
これが「手続き記憶」というものです。
たとえ、水泳乗りを長年やってなかったとしても、
体が覚えているので、
ちゃんと乗ることができ
ますよね。
こうして体で覚えた手続き記憶は、消えることなく、
ずっと脳が覚えているものです。
私たちが真面目に体を動かし、
何度もくりかえしながら
トレーニングするうちに、
脳内ネットワークが
正しい動きを学んで記憶していくのです。
しかし、勉強をすすめる上では体で覚えることなど
ほとんどありませんのでこちらのメカニズムはとかく
試験勉強
では使われないメカニズムだと言えそうですね。
漢字や英単語を何回も書いているうちに手が覚えている
・・・と言った程度です。
■ 短期記憶と長期記憶
記憶のメカニズムも大きく分けると二種類ありますが、
記憶自体も大きく分けると
「短期記憶」「長期記憶」と二種類あります。
① 短期記憶
新しい情報が頭に入ってきたとすると
その情報は、
最初は短期記憶として蓄えられます。
しかし、短期記憶の保存は一時的に情報を保存するだけで、
しかも容量が小さく、それが短期記憶の保存庫にとどまる限りは、
すぐに忘れてしまうのです!
一回だけ感じを覚えたとしても、次の日には
半分程度しか思い出せない
ということですね。
②長期記憶
長期記憶はいったんここに保存されると容易に忘れることはなく、
しかも膨大な量の情報を保存することができます。
その容量は1000兆項目と計算する人もおり、
まさに無限に広がる「記憶の海」と言えます。
短期記憶と長期記憶はその保存される過程がことなりますが、
パソコンのメモリーとハードディスクのようなものと考えると
わかりやすいかもしれません。
■長期記憶への移行と定着
情報を長期的に保存し頭に定着させるためには、
短期の保存庫から長期の保存庫に移す必要があります。
記憶が存続していくためにはそれが短期記憶を経由して
固定されることが不可欠になってきます。
固定は 記憶が作られる際に、脳の構造が置き換わることで
移行されると考えられています。
この移行がうまくいかなければ、
せっかく覚えた記憶もすぐに忘れてしまうのですが、
では、どうすれば長期記憶の保存庫に
移行させることができるのでしょうか?
キーポイントは、「理解して覚える」ことですね!
なるほど、だからこうなるのか」というように内容を
理解して覚えたことは、
長期記憶の保存庫に移って
忘れにくくなるようです。
それに対して、意味も分からずとりあえず
丸暗記したことは、たとえその場では何となく
覚えたつもりになっていても、長期記憶の保存庫に
移っていない為
すぐ忘れてしまいます。
英単語など、とりあえず覚えただけの勉強は、
すぐ忘れてしまいますが、短期的に蓄えられた記憶を
何度も出し入れすることで、
記憶が定着しやすくなります。
このようにすることで、短期的に定着させて記憶できます。
日々の生活に取り入れていきましょう!