記憶力を高めるコツは
記憶力を高める方法として、いろいろな側面から考えていきましょう。
【その1】
脳の機能を働きやすく、バージョンアップすること
運動を習慣にして脳の血行をよくしたり、
脳にいい栄養素、サプリメントなどを
摂るようにすることも大事なことです。
たとえばビタミンB1、B6、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12には、
脳の正常な機能を保つ役割があります。
神経伝達物質の生産、脳と神経細胞の
コミュニケーションなどに関わるため、
これらの栄養素が不足すると記憶力に
障害が出る可能性もあります。
青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸には、
加齢に伴う記憶力の減退を防いだり、
アルツハイマー病を防ぐ働きがあるといわれています。
まぐろの目の周りのゼラチン状のところには、
DHA(ドコサヘキサ塩酸)が含まれ、
記憶力の減退を防ぎます。
咀嚼は、記憶の中枢である海馬を活性化させるので、
これも有効です。
前頭葉のワーキングメモリの容量が大きくなり、
海馬の顆粒細胞が増えて、そこからシータ波が発生すれば、
脳力が全体的に高まります。
そうなると当然、「記憶力」も高まります。
そのほか集中力や思考力、判断力、読解力、洞察力など、
あらゆる脳の機能が全体的に向上していきます。
【その2】
覚えたことの反復学習をする
脳は使えば使うほど、その機能が高まっていく器官です。
その意味では、鍛えるほどに
発達していく筋肉と似ています。
海馬は脳の筋肉のようなものですね。
最近の研究では、海馬の歯状回にある顆粒細胞
という部分だけは、年齢を重ねても増えていくことが
分かっています。
今までの定説では脳細胞は減っていく一方で、
増えていかないということでしたので、
少しほっとしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
普段から勉強を習慣化し、繰り返しをしている人は、
しぜんと海馬の細胞が増えて大きくなります。
その結果、記憶力が高まっていきます。
逆に勉強の習慣がない人は、
海馬をはじめとした脳の機能がどんどん衰えて、
海馬が委縮して小さくなっていきます。
そうすると、いくら表面的な「記憶術のテクニック」を使っても、
すぐに限界がきてしまいます。
脳の特性として、興味のあるもの、印象が強いものは
海馬に強烈に訴えかけ、側頭葉の長期記憶の保管庫へと、
すみやかに保管されます。
受験対策や資格試験の勉強方法でも、
できるだけ楽しく、興味をもつことが大切ですね。
楽しく興味をもてる対象にたいしては、
それほど復習の回数を増やさなくても、
長期記憶となるのです。
興味を持てない対象にたいしては、
どうしても復習を何度も繰り返す必要があります。
それにより、記憶の管制塔である海馬は、
ようやく重い腰を上げ、長期記憶として
脳内に留めてくれるのです。
復習のタイミングや回数、
期間はどのようにしたら効果的でしょうか?
復習の方法を考えるさいに、
エビングハウスの忘却曲線が、
よく引き合いに出されます。
これはドイツの心理学者である
ヘルマン・エビングハウスが行なった実験による結果です。
時間の経過に伴う、記憶の量の変化です。
それによると、たったの20分後には、
記憶したことの42%を忘れ、
1時間後には56%も忘れてしまった
という結果がでました。
エビングハウスの忘却曲線を参考にすると、
学習の直後から急激に忘れていくので、
学習後はできるだけ早めに復習する方法が
よいということになります。
その日のうちに一度繰りかえしたら、
翌日には、かならず復習の時間を設けます。
時間帯は、これも決まっていません。
朝でもよいし、昼でも寝る前でもいいと思いますので、
とにかく、記憶の整理を行う睡眠をはさんで、
もう一度復習することに意味があります。
人は寝ているときに、その日学んだことを
整理したり吟味したりしています。
このとき大脳辺縁系にある扁桃体という部分が、
重要度を天秤にかけています。
扁桃体は感情と本能を生み出す元となる部分です。
好き・嫌い、快・不快、役立つか・そうでないか
などの尺度をもって、記憶を取捨選択しています。
このときに面白いことや興味のあること、
印象深いものは、扁桃体によって重要とみなされ、
長期記憶に送られていきます。
また何度も繰り返したことも、
扁桃体によって重要と判断され、
記憶に定着しやすくなります。
人は3回復習すると、その後とりあえず1週間は、
記憶を高い水準で保つことができます。
記憶のコツとして覚えておきましょう!
次回はさらに記憶を高めるテクニックについて
お話ししていきたいと思います。