脳が引き起こす 「こころ」とは・・・
私たちの脳の中には、三つの脳があり、
それぞれが互いに交錯したり
葛藤したりしながらそれぞれの個別の
こころを呼び起こし、複雑多岐な感情を
引き起こしています。
理性的、理論的なこころ
頭の知性をつかさどる大脳新皮質というところで
作り出されます。
感じる心、喜びとか悲しみといった人間的な
こころや、例えば性欲などの本能的な欲求に
根ざした感情。
これは大脳の周辺部にある大脳辺緑系の古皮質
というところで呼び起こされます。
呼び起こされる感情は、
いつもなんらかの行動をはらんでいるため、
特に情動という言い方をして感情と区別しています。
本能的な行動に根ざしたこころ、
大脳辺緑系の旧皮質というところで
呼び出されます。
自分の縄張りや安全の感覚、生活パターンや
習性や日常動作などの本能的な行動に根ざしたものです。
このような感情の爆発は、
神経がハイジャックされるために起こります。
大脳辺緑系の一部が緊急事態を宣言し、
脳全体を制圧してしまうのです。
辺緑脳によるハイジャックは瞬間的に、
思考をつかさどる大脳新皮質が
働きはじめるよりも一瞬早く発生します。
私たちの脳はこの三つの脳が一体となっています。
私たちは、外部からの刺激に対して、
いつも頭で考えて行動を決めていると
思い込んでいます。
ところが、得体の知れないものを感じたり、
見たりしたとき、不安や恐怖のあまり
反射的に身構えたり、その場から全力疾走で
逃げ出そうという衝動に駆られることが少なくありません。
頭で考えて正体を認知するのは、その次です。
恐怖や不安は、いつも行動をはらんでいます。
それが情動です。
情動には、恐怖や不安のほかに、
快感、怒りなどがあります。
本能的な欲求こそが、
私たちを仕事や遊びに駆り立てる意欲の源に
ほかなりません。
まさに気力、活力の源なのです。
また恋愛や結婚、性愛の源でもあります。
情動は生きていく上で基本的に
必要な欲求に根ざしているものだけに、
喜びや悲しみといった人間的な感情を圧倒して、
その人を衝動的な行動へと突き動かしてしまいます。
このような感情の爆発は、
神経がハイジャックされるために起こります。
大脳辺緑系の一部が緊急事態を宣言し、
脳全体を制圧してしまうのです。
辺緑脳によるハイジャックは瞬間的に、
思考をつかさどる大脳新皮質が働きはじめるよりも
一瞬早く発生します。
そのため、大脳新皮質は事の是非を判断するどころか、
全体の状況を把握する暇さえなく、
こうしたハイジャックが終わった後に
本人にも何が起こったのか
よく分からないというのが特徴的です。
人間の心は言葉という形とは違います。
扁桃核の言葉にならない情動こそ心の本質です。
人間の心と心が通じるとは、
この扁桃核がもっているその人の個性
あるいは本質に共感することです。
それは言葉としての共感ではなく、
情動ととしての共感です。
大脳新皮質からでる言葉は
知識としての言葉であり、
心がこもっているという理解は
扁桃核の感覚が共感することです。
それはその人の体全体から相手に
伝わるものです。
言葉としての形としてではなく、
表情やまたは言葉にならぬ雰囲気や「霊」と
表現できるような、現代的表現では空気感
といったもので伝わるものです。
こころは、このように脳のからみによって、
心というものが生み出されていくのです。
次回は3つの脳のうち、もう一つ、大脳新皮質についてです。