脳内ホルモンと「キレる」ことの関係とは・・・
最近「キレる」子供が話題になっています。
そもそも、キレやすい人とは、どういう人なのでしょうか?
それは、衝動性が高く、
我慢や切替えが難しい人のことをいいます。
私達が何かを我慢する時、
こめかみの4センチくらい上に
前頭葉背外側部という場所がありますが、
ここからGABA(ギャバ)という
化学物質が分泌され、動きや考えを
止めることができるのですが、
キレやすい人はここの動きが悪いのです。
さらに、突然暴れだしたり、
過剰におびえたりする人は、
「怒り」「おびえ」をもたらす
ノルアドレナリンの分泌が高く、
「幸せ」「癒し」のセロトニンの分泌が
低いことがいろいろな実験で証明されています。
セロトニンはノルアドレナリンや
ドーパミンを調整する役割を持っていますから、
この分泌が少ないとなるとキレたりするのは
当然の結果かもしれません。
この原因としては、遺伝子、育ち方、環境ホルモンの
3つが考えられます。
①遺伝子というのは・・・
「キレやすい」ものだけではなく、
例えば、「内向的」「はまりやすい」
「優柔不断」「やたらと元気」…といった特性があります。
これはいってみれば『脳の癖』です。
私達の脳には、もともとこうした癖を
持った遺伝子が存在しているんです。
もちろん、人によって持っている遺伝子は違います。
このいくつかの遺伝子群が環境や周囲の人、
さらには自分自身との関係に
刺激されながら互いに作用し合っています。
そして、はまりやすい脳やキレやすい脳を
作り上げていくのです。
それでは脳の癖の何割が
遺伝子によるものなのでしょうか?
それはおおよそ6割です。
ですから、脳の問題は、まずは
遺伝子の問題として捉えて、その後で
人間関係や社会に原因を探っていくべきものなのです。
もっとも、脳は刺激に対して非常に敏感ですから、
環境によってある癖が強まったり
癖の性質そのものが変化したりということはあります。
②「育ち方」というのは・・・
セロトニンは「幸せ」や「癒し」の物質ですが、
子供の頃に十分な愛情をもらえずに育つと、
このセロトニンの分泌機能が
発達しないといわれています。
特に赤ちゃんは、母親と一緒に過ごし、
愛情を注いでもらうことによって
セロトニン系を育んでいきます。
しかし、日本は高度成長期以降、
核家族化や地域社会の崩壊が進み
時間をかけて子育てをすること
が困難になっています。
結果、セロトニン分泌機能が充分でない子供が
増えたのではないかと考えられます。
それと、子供の遊び方の変化も、要因の1つです。
昔は子供が「遊ぶ」といえば、
仲間と外を走り回っていたものですが
最近はあまり見掛けなくなりました。
少子化やテレビゲームの凄まじい普及によって、
「内遊び」「1人遊び」の傾向は加速される一方です。
しかし、体を動かすことは
「集中」のノルアドレナリンや
「やる気」のドーパミンの分泌を増し、
脳の発達には非常に重要なことです。
また、大勢で遊ぶことは、
コミュニケーション能力や人間関係から生じる
ストレスの対処法などを学ぶことにもなり、
セロトニン系を育てることになります。
ということは、親はできるだけ子供と接し、
さらに外で友達と遊ばせることが、
健全な脳の発達に欠かせないということになりますね。
次回は3つ目の「環境ホルモンの影響」について、
引き続きお話ししていきます。