DHAの健脳作用は摂取量に左右される?!
DHAはドコサヘキサエン酸の略ですが、
これが、血液の粘度を下げ、血液の流れを良くし
目の網膜や脳の働きを活性化する
健康効果があるといわれています。
それでは、どんな食品に含まれているのかというと、
DHAは、まぐろ、かつお、あじ、さば、いわし、ぶりなど
背中が青みがかった魚に多く含まれています。
どうしても青魚が苦手な方がいると思います。
そのような方で、食品でDHAを摂りたいという方には、
αリノレン酸がオススメです。
αリノレン酸を多く含む食品として、
えごま・亜麻仁・くるみ・チアシードが挙げられます。
前回のメールマガジン講座では、
クルミがどのように脳活性化に良いのかは説明しました。
このDHAを摂取すると脳の細胞膜が柔らかくなり、
脳が活性化(記憶力や観察力の機能もアップ)します!
脳の細胞を形作るのは細胞膜で、特に
DHAは情報伝達機能を受け持つシナプス膜(神経終末)を
作る材料になっており、シナプス膜にDHAが
多いほど膜は柔らかくなります。
したがって、DHAはシナプスの先端で
情報を伝達する重要な役割を担っているのです。
また、DHAはミトコンドリアという
エネルギーを作り出す部分の成分にもなります。
ですから、DHAが十分にあれば、脳は活発に働き、
記憶能力や学習能力も増加します。
これが、注目されているDHAの健脳作用です。
ところが、DHAは年とともに減少し、不足すると、
脳の活性化が失われて、老人性痴呆症に
つながるおそれがあります。
脳血管障害による痴呆症はEPAやDHAの不足で
血流が滞り、血栓ができやすくなって起こるのです。
やはり、DHA不足が深く関連しています。
最近の研究発表では、
このDHAの適度な摂取量が大事であることが
言われています。
以下はサイエンスポータルに掲載された
「iPS細胞でアルツハイマーの病態解明」の一部です。
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進行性の記憶障害を伴う認知症疾患
「アルツハイマー病」について、
実際の患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を
基に大脳の神経系細胞を作って調べたところ、
同疾患に特徴的なタンパク質の細胞内蓄積が、
64歳以下の若年発症タイプと、
65歳以上の高齢発症タイプのどちらにも共通して
みられることが、共同研究で分かった。
このタンパク質の蓄積により
細胞死が起きやすくなったが、サバやイワシなどの
魚類に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの
適度な投与によって抑制することができたという。
アルツハイマー病は、老年期認知症のうちで
最も多い疾患で、その病理的な特徴として、
脳内に「老人斑」と呼ばれるタンパク質の蓄積が見られる。
老人斑の主成分は「アミロイドベータ(Aベータ)」という
タンパク質で、その過剰な蓄積がア
ルツハイマー病の発症に深く関わっていると考えられている。
アミロイドベータが「Aベータ・オリゴマー」と
呼ばれる集合体になって細胞内に蓄積し、
正常にタンパク質が作られなくなり、「酸化ストレス」を
引き起こして、細胞死を生じやすくすることが分かった。
これらの細胞内ストレスは、
低濃度のドコサヘキサエン酸(DHA)を添加して培養すると、
神経細胞での小胞体ストレスや酸化ストレスを減らし、
細胞死も抑制することができたが、
高濃度の場合は、逆に小胞体ストレスを増強した。
研究者らは「一見同じに見えるアルツハイマー病でも、
背景にひそむ病態は多様であり、
病態の特性に応じた治療戦略が必要である」と
述べている。
上記のように、アルツハイマーに対して、
DHAには適切な有効濃度が存在する
ということのようです。
そしてアルツハイマーといっても単純ではなく
多様化しているため、それぞれの対応策が
必要ということですね。
今後、世界の中でも「アルツハイマー大国日本」になり、
今後の予防対策や意識が必要と思われます。
参考になれば幸いです。