右脳と左脳はアナログ脳とデジタル脳?!
右脳と左脳の違いは
以前に「記憶の玉手箱脳」でも何度かお話ししました。
まだ読んでいない方はぜひ玉手箱を開けてみて下さい。
脳科学的に確かめられてから、
言語や計算を司る左脳をデジタル脳、
図形や空間認識、ひらめきなどに関係する右脳を
デジタル脳とも呼ぶようになりました。
やがて、コンピュータの機能が
ハード、ソフトとも目覚しく発達すると、
脳はデジタルではもうPCにはかなわなくなり、
アナログ的な右脳が
脚光を浴びることになったのです。
デジタルが過ぎるとアナログが懐かしくなるのも、
これも自然な成り行きでしょう。
とはいえ、人間の脳は
右脳、左脳ときっちりと分けられるものでもなく、
単純な機能分化をしているわけではないのです。
両者は相互に補い合いながら、
前頭前野(前頭葉)の指令のもと、
生命を維持するための活動を行っています。
そのため、
改めて言語能力(特にコミュニケーション能力)や
論理的思考力が見直され、
右脳と左脳のバランスをとることが大事であることが
認識されてきました。
私たちの記憶というのは、
直接体験したことや見聞したこと、
勉強したことをいったん脳の海馬に一次保管し、
必要に応じてそれを大脳皮質に保存して
長期記憶にしていきます。
そして、長期記憶のカギを握るのが
喜怒哀楽などの情動をコントロールしている扁桃体です。
つまり、好き嫌いなどの感情が
記憶という人間の知的活動に
大きな影響力を持っているわけです。
人の感情は一人ひとり異なりますから、
同じことを経験しても、記憶能力に関係なく
個々の記憶はその内容によって差が出ます。
それだけ脳の機能はファジーで、
個人差があるといえるでしょう。
その点、コンピュータと比べると、
まさにこのきちっときめられない、
ファジーさ、柔軟性こそが脳の特徴ともいえます。
私たちはせっかく覚えたのに、
よく忘れるという経験もありますね。
大脳が、海馬の短期記憶から
長期記憶へ記憶しても忘れることがあるのです。
一時的に思い出せないど忘れも
よくあることですが、逆に何年間も忘れていたことが、
ふとしたきっかけで思い出されることもあります。
また、勘違いも脳の記憶に特徴的なことで、
人に指摘されないと長年、間違って
記憶されたままになることは、誰でも経験することです。
さらに、古い記憶を自分の都合のよいように
書き換えたり、何度も嘘をついているうちに、
それが本当のことだと思ってしまったり
することもあります。
よく刑事もののドラマなどにもありますね。
そのへんのところは、脳の不可解なところともいえます。
こういったところは、脳だけの問題ではなく、
心のところにも原因がありそうですが・・・。
こうなると私たちの「デジタル脳」は、
起こることによっては、あてにならない場合があるようです。
ですから、人間には絶対ということがなく
何か間違いも犯すものだ、ということでしょう・・・
機械の設計は、人間が間違いを犯すことを
前提に作らなければならないことは当然で、
通常はそのことを考慮して設計されているはずです。
それでも欠陥商品は生まれ、
「想定外」のことがおこるのです。
ファジーな脳は、
完全というものはないということを挙げましたが、
それらの間違いやミスを発見するのも
またファジー脳の働きですね。
ロボットやコンピュータのように、
正確ではありますが、
決まりきったことしかできないものとは違って、
組み込まれたプログラムを
いとも簡単に逸脱できるからこそ、
人は過ちを見つけ、修復し、
あるいはやり直すことができるのですね。
ですから、進化してきたデジタルが
いいということではなく、アナログと一緒に同居して、
バランスよく脳を使うということが大切だと思うのです。
これはたぶん心の使い方にも
影響するでしょう!
脳と心はリンクしていて、
切り離すことができないからです。