人間の脳は柔軟性が大!?
前回はコンピュータや動物たちの脳との違いである
脳の柔軟性についてお話しました。
毎日10万〜11万のおびただしい数の
脳細胞が死んでいくリスクに対して、
私たちの脳はどのように対処しているのか・・・
それが脳の柔軟性だということでしたね。
では年齢による脳の柔軟性は
どのようになっているのでしょうか?
★ 子供の場合 ★
子どもの脳の柔軟性は特にすごいといわれています。
子どもの脳のニューロン(神経細胞)は、
大人に比べて突起を伸ばしてネットワークを作りやすく、
また学習や記憶に関するレセプターが多いため、
柔軟性に富み、失われた能力を
「肩代わり」する力が大きいのです。
何か脳にハンディがあっ場合、
実は柔軟性に富む生後間もないころに
大きく組み替えることができるようです。
お母さんが、赤ちゃんが生まれた直後から
一日中体をマッサージしたり、話しかけたりしながら、
外からの情報の刺激を与え続けることによって、
柔らかい赤ちゃんの脳は、お母さんが作ってくれる刺激を
いっぱい受けて、残されたニューロンを使って
ネットワークを作り上げていくようです。
★ 大人の場合 ★
《脳卒中で言葉を失ったAさんの場合の例》
普通、私たちが言葉を聞いて理解したり、
話したりするとき、左脳の「言語野」
とよばれる部分を使っています。
Aさんは、脳卒中で左脳の言語野を
やられてしまったのでした。
その後Aさんは、一生懸命にリハビリを行い、
ついに言葉を取り戻しました。
Aさんは、どうして言葉を取り戻すことができたのでしょう?
Aさんの脳を調べたところ、左脳の言語野の機能を、
なんと右脳が肩代わりしていることがわかりました。
左脳にある言語野が、右脳に移動していたのです。
Aさんのケースは、大人の脳でも
ニューロンネットワークが組み変わることが
できることを示しています。
★ 高齢者の場合 ★
ニューロン(神経細胞)は、
1日に10万個死んでいくといわれます。
ニューロンの数は基本的には増えることはなく、
減る一方ですが、心配することはありません。
ニューロンには新しく突起を伸ばしてネットワークを
作り上げていく力があり、高齢者になっても
その力はなくならないのです。
実際、老化して亡くなった人の脳のニューロンを調べてみると、
むしろ若い人よりも豊かな突起の
つながり方をしている場合があります。
老化した脳は、確かに若い脳に比べて
反応のスピードなどが遅くなったりしますが、
豊かに作り上げたニューロンネットワークを使って
学習したり、若者にはない知恵や思考を展開できるのです。
以上のように、人の脳の柔軟性は特徴的であることがわかります。
年をとっていってもこのニューロンのネットワークを
広げていくことが脳の衰えを防ぐことができるのです。
日々の脳の活性化をこころがけましょう!