朝食と記憶力の関係とは・・・
【朝食を食べると記憶力・習得能力が増す】
記憶力が最もよくなる時間帯は、朝食後です。
理由は、ブドウ糖が関係します。
ブドウ糖は、脳の唯一の栄養素です。
脳はブドウ糖と酸素が起動源になります。
体の筋肉や内臓器官などは、
多数の栄養素を必要としますが、
脳が必要とするのは、ブドウ糖のみです。
脳は、1200g~1400gの重さがあり、
60kgの体重とすると、
全体重のたった2パーセントしかありません。
しかし、2パーセントしかないにもかかわらず、
カロリー全体の20パーセントも消費するのです。
デンマークの国立労働健康研究所の
ワイオン博士が10歳児を対象にした研究で
明らかにしています。
1日の必要摂取量の約25%を朝食で摂取すると、
計算能力・創造力が高まったという結果がでているのです。
メキシコで開催された
“朝食とパフォーマンス”サミット(3日間)に
栄養学・心理学・神経科学など世界中から
専門家が集まりました。
朝食は記憶力・問題解決力・創造的思考力が向上し、
教室での子供たちの活動を良くするためにも
重要であるとの見解が一致しました。
又、朝食は青年や中高年の知的活動にも
重要な効果があることが討議されました。
8~80歳の人々を対象にして、
炭水化物を摂取すると
短い話を記憶して話す能力が高まるという
研究も紹介されました。
ではなぜ朝食をきちんと摂取すると、
なぜ学習能力が高まるのでしょうか?
これまで炭水化物のグルコースが
記憶力と脳の活動に何らかの
影響を及ぼすとされておりました。
朝食を抜くことで生じる短期記憶
(10秒ほどしか保持出来ないような記憶)は
グルコース摂取により回復することが明らかになっています。
グルコースとは、ブドウ糖の別名。
果物や穀類などに多く含まれ、
自然界に最も多く存在する単糖類。
日本語ではぶどうから発見されたため
ブドウ糖と呼ばれます。
食べ物から摂取された糖質は、
消化吸収を通して最終的にはぶどう糖に分解され、
エネルギー源として利用されます。
【朝食と知的労働】
現代のサラリーマンにとっては
知的労働が重要になってきています。
従って、筋肉労働を中心に研究されてきた
過去の栄養学は転機を迎えていると言われています。
最近の国民栄養調査によると、
男性の朝食欠食の割合は20才代で約30%、
高齢者を除く働き盛りの前年令で11%で
いずれも急速に増えています。
これは健康上も、知的労働の上でも心配なことです。
朝食による血糖の上昇が勤労者の
知的活動を高めるという研究が最近多くみられます。
今年の米国臨床栄養学雑誌に
食事と知的活動の特集が発表されました。
「20才代の男女について、326kcal、
タンパク質、脂質12.2gの朝食を与えた者(朝食摂取群)と
欠食者(欠食群)をテストした。
空間記憶とは、犬やリンゴなど16種類の絵を
編み目の上に置いて、20秒間眺めさせて後、
絵を取り去る。
そして、何秒で元の位置を網目上に書けるか
どれだけ誤ったかを調べる。
単語想起と15種類の日常名詞を
2秒ごとに提示して直後に、出来るだけ
速く多くの単語を書かせる。
結果は朝食群が有意に優れた成績を示した」
上記の結果のように
脳は血糖以外はエネルギーとして使えないので
食事の影響を受けやすいです。
他の臓器は欠食しても、
脂肪を使える点で脳とは違っています。
肝臓には約半日分の糖しか蓄えられないので、
欠食すると脳への血糖が不足することになります。
朝食の重要性が改めて感じさせられる実験テータです。
みなさんも、朝はなかなか時間に追われるでしょうけれども、
朝食は、しっかり摂るようにしたいものですね!