左利きと脳との関係は・・・
前回は利き手と脳ということで、右利きについてのお話しをしました。
では左利きはどうなのでしょう?
日本人の場合、95%が右利きで、
右利きの人のほとんどは左脳に言語機能があります。
では少数派の左利きの言語機能はどうかというと、
70%は左脳にありますが、右脳に持つ人は20%、
左右両方に言語機能を持つ人も10%もいます。
左脳、右脳の特徴をまとめると次のようになります。
■左脳の働き
言語的・観念的・分析的・部分的
算術的かつコンピュータ的
■右脳の働き
ほとんど非言語性、音楽性
形や外見に対する感覚(唯物的)
合成的 ・ 全体的
幾何学的かつ空間的
もし脳卒中などで左大脳を障害すると
多くの場合、言語障害や右手足の麻痺
などがでますので、生活する上で不自由なことが
生じてきます。
しかし両側の脳に言語機能を持っていれば
言語障害の回復が早いといわれています。
最近の研究では
ほとんどの女性は両側の脳に言語機能が
あることが分かって来ました。
女性はお喋りが得意という所以です。
★ 左利きになるわけは?
これは胎児期に
アンドロゲンという男性ホルモンが
左脳の発達を遅らせるために右脳が発達する
という説があります。
ですから左利きには男性が多いのです。
左利き、即ち右脳が発達している人は、
空間認識の得意なスポーツや美術、音楽、数学などに
能力を発揮している人が多いのです。
プロ野球選手に左利きが多いことはご存じでしょう。
大リーガーのイチロー選手などは有名です。
そもそも指先というのは、
運動機能の面でも神経学の観点でも、緻密極まりないものです。
そのため、手を使うという行為自体、
良い意味で脳に大きな負荷を強いています。
たとえば左利きの人が右利き用の道具を使う際には、
“どう対応すべきか”という思考や検証が発生します。
つまり、先天的に左利きの人は、
幼い頃から自然に脳がトレーニングされてきたと
考えられるでしょう。
ちなみに、
左利きに天才が多いといわれる理由のひとつには
「右利きの人は言語機能の優位半球が左脳にあり、
左利きの人は右脳にある」という説が影響したと考えられます。
ただし、近年の研究によると、前述したように、
左利きであっても、およそ7割の人の言語機能中枢は
左脳にあることが判明しているようです。
そして、残り3割のうち約2割が右半球に、
1割が左右両方に言語機能の中枢を持っているということです。
左利きのリスクとしては
免疫系の病気にかかりやすいこと(右利きの2.5倍)、
どもりや失読障害が多いと言われています。
生活する上では
右利きに便利なように作ってありますので
左利きには不便なことが多いですね。
また、幼少期から左利きであることで、
鍛錬された脳が、通常とは違った力を発揮する、
ということはありそうです。
しかしその反面、利き手ではない手で、
文字を書いたりボールを投げたりといった
高度な作業を行うことが、心理的に過度のストレスを
与えてしまう危険も指摘されています。
幼少期、この辺のバランスをとることは、
大事になるのかもしれませんね・・・