いびきと睡眠の関係とは
いびきは睡眠中の気道の閉塞
いびきは睡眠・快眠と、どういった関係があるのでしょうか?
はたから見るぶんには、
イビキをかいていると気持ちよさそうで、
深い眠りの最中といった印象をうけます。
しかし実際はというと、
気道(鼻、咽頭、喉頭、気管、気管支)のうち
上気道が狭いために、空気が通るときに
粘膜が振動しているのです。
気道が狭いということは、
それだけ空気の供給量が減るということであり、
これがひどくなると酸素不足へとつながっていきます。
つまり、いびきは「睡眠中の酸素供給量の減少」
という危険が潜んでいるかもしれないサインと
見ることができます。
もちろん軽度なものでは、健康上問題はありません。
ただ、ひどいイビキの場合、
後述する無呼吸を併発している可能性が
高くなります。
そうなると心臓や脳に酸素が不足して、
朝起きたときに寝不足感を覚えることが多くなります。
ひどい頭痛を伴うこともあります。
睡眠中のいびきは、
扁桃腺の肥大やアデノイドといった病気によって
引き起こされることがあります。
そのほか肥満体でも気道が狭まりがちです。
日本人の場合は肥満ではなくても、
首が短く下あごが小さいという特徴によって、
気道の閉塞が起こりやすいといわれています。
そのほか睡眠中のいびきは、
アルコールの飲みすぎでも発生します。
お酒の飲み過ぎが眠りを浅くするのは、
もちろん脳をまひさせるからですが、
気道の閉塞も関係しているかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群とは?
このようにいびきは睡眠中に発生し、
酸素供給量を少なくする危険がありますが、
それが発展したものが睡眠時無呼吸症候群です。
この睡眠障害では、呼吸が浅くなったり、
完全に止まる状態が10秒以上続くものを
無呼吸と言います。
その無呼吸が1時間のうちに5回以上発生するようになると、
呼吸関連睡眠障害と診断されます。
多い人だと、1時間のうちに30~100回以上の
患者さんも存在するといいます。
無呼吸の間は、呼吸しなかったり呼吸が浅くなるので、
いびきがぴたっと止まります。
つまり激しいイビキが断続的に繰り返される
「エンスト型のいびき」の人は、
睡眠時無呼吸症候群の可能性が大きいといえます。
いびきの睡眠障害では、呼吸が止まっている間は、
心臓や脳に酸素が行かないので、
心臓や脳がダメージをうけます。
そのため重大な心疾患や脳疾患を
引き起こす危険があります。
また寝始めのノンレム睡眠の第3、第4段階の
深い眠りが激減するために、
日中の耐え難い眠気が現れます。
このいびきの睡眠障害は、ナルコレプシーと同様に
過眠症の一種なのです。
いびきによる睡眠障害を放置していると、
昼間に突然眠り込んでしまい、
重大な産業事故を起こすことになりかねません。
実際に過去に、新幹線の運転士が
居眠り運転をしてしまい、重大な事故になる
寸前で自動制御装置が作動した
という事件がありました。
この運転士も、睡眠時無呼吸症候群だったそうです。
いびきの睡眠障害は、脳と心臓にダメージを与えるため、
レム睡眠中に突然死する危険もあります。
レム睡眠のときは、自律神経のバランスが乱れ、
脈拍や呼吸が不規則になるからです。
いびきの睡眠障害の治療法
全国には約200万人の睡眠時無呼吸症候群の人がいるそうです。
しかし、実際に睡眠障害の治療を受けている人は、
ごくわずかだといいます。
つまり約200万人もの人が、
睡眠中に突然死を起こす危険と隣りあわせで
生活しているわけです。
睡眠時無呼吸症候群の治療法としては、
軽度の場合は、マウスピースを着用して寝たりします。
これは歯科の範ちゅうですが、
気道が確保されるので、いびきを睡眠中に
かかなくなります。
そのほか1時間に無呼吸が20回以上ある人は、
CPAP(シーパップ)療法を健康保険で受
けることができます。
これは鼻から強制的に空気を送り込む装置。
CPAP療法によって重度の呼吸障害は改善され
、深い眠りを得られるようになります。装置は小型化してきているので、持ち運びも楽です。
原因となる肥満やアルコール依存を改善することが、
根本的な解決法となります。
そのほか、いびきは睡眠時に横向きに寝ることで、
押さえることができます。
たて中央部を高くしたシーツが販売されていて、
これを使用すると仰向けになれないので、
必然的にいびきが解消されます。
いびきでお悩みがありましたら、やってみて下さいね。